リッツ・カールトンやジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドは参考になるのか?
クレドとは何か?ということを調べていて、さまざまな「例」を探している、という方も多いのではないでしょうか?
私自身も最初に自社にクレドを導入しようと考え始めたとき、成功している他社の事例を知るということに注力をしていたからよく分かります。
「守破離」という言葉を思い出し、まずはリッツ・カールトンやジョンソン・エンド・ジョンソンのクレドを、まずは真似してつくってみようと考えました。
企業理念とクレドの違いなどを理解し、リッツ・カールトンのスタッフの方や、ジョンソン・エンド・ジョンソンの関係者にもクレドについて聞き、また彼らが運用しているクレドの実物もいただいてきて、良い部分を参考にさせていただきながら、自社のクレドづくりに活かしていこうと思ったわけです。
しかし、クレドの本質を理解しようとせずに、「つくり方」といったテクニカルな部分だけを真似しても、リッツ・カールトンやジョンソン・エンド・ジョンソンのようになれるわけがありません。
私はそのことに早い段階で気づくことができました。
それは、リッツ・カールトンやジョンソン・エンド・ジョンソンだけでなく、日本でクレドを使っている企業に広くヒアリングして、クレド経営の実情を知る機会に恵まれたからです。
正しい考え方を理解してからはじめないと、成功企業のマネをしても上手くいかない
「最初は、クレド経営が成功しているように見える企業の真似をしてでも、まずはやってみることが重要で、やってみることもなくいつまでも考えているだけでは前に進むことはできない」と考える経営者は多いと思います。
何より、経営者として仕事をしていると、やってみなければわからないことは、あれこれ考えすぎずにまずは「やってみる」という行動の癖がついているという方も多いかと思います。
「まずはやってみて、良いか悪いかを判断すればいい。やる前からいろいろ考えても結論は出ないことが多いのだから」
私自身が、日々そのように考えながら仕事しているため、多くの経営者がクレド経営も深く考えずに、まずはやってみるという流れになる気持ちはとても良く分かります。
しかし、とりあえずやってみて、クレド経営の本質やクレドが組織に与えてくれる力について、きちんと理解ができる前に、
「やってみたけど、クレドはうちの会社には合わなかったですね」とか
「あれは正直あんまり意味がなかったですね」と
結論づけてしまう人がいるという事実を目の当たりにして、クレド経営は正しい考え方をしっかりと理解した上で「やってみる」という行動に移らないと、時間もお金も無駄になってしまうという現実が分かってきたのです。
もし、クレドを自社に導入することを検討している方で、他社事例を探していて、まずはそれを踏襲して形にしてみようと思っているという方は、少し落ち着いて考えてみることをおすすめします。
各社の事例は、みなさんご自身でもその気になればいくらでも入手可能だと思いますが、本質を理解するまえに安易にスタートしてしまうと、必ず失敗しますから。