不祥事とクレドの関係|クレドが注目される背景

クレドが注目されるようになった背景

ここ10年から15年くらいでしょうか。
クレドが日本でも注目されるようになってきました。

私が最初の事業を創業した1990年代後半は、「クレド」という言葉を聞くことはほとんどありませんでした。また2000年代に入っても前半は、ほとんどの経営者や人事担当者は、「なにそれ?」という反応だったように記憶しています。

それが15年くらい前から日本でも注目を集めるようになってきたわけですが、その背景には、度重なる企業不祥事にあります。

ジョンソン・エンド・ジョンソン社のタイレノール事件での対応は、世界のビジネス史上で最も優れた危機対応だったとして有名ですが、これはクレドが機能していたからこその対応だったことが知られています。

このタイレノール事件は1982年ですから、今から約40年も前の出来事です。

その後も日本では数々の企業不祥事が発生していますが、いずれも企業理念などで立派なことが謳われている企業で不祥事が起きていることから、各企業では有名無実化した理念を、今後どのように扱えばいいのか、経営者だけでなく全従業員がわからなくなってしまっていたわけです。

いや、わからなくなってしまっていたからこそ、不祥事が起きてしまったのです。

日本企業の不祥事

2000年以降、有名なところだけを抜粋してみます。

2000~2004年 三菱自動車によるリコール隠しとそれによる業務上過失致死。

2002年の横浜で起きた母子3人死傷事故は、当時私が住んでいた自宅のすぐ近くで起きた事故でした。
「空飛ぶタイヤ」という映画にもなりましたので、覚えている方も多いかと思います。

2002年 雪印、日ハム、伊藤ハム等による牛肉偽装事件
2005年 通称姉歯事件と呼ばれた、構造計算書偽造問題
2006年 インサイダー取引を行った村上ファンド事件
2007年 ささやき女将で知られる船場吉兆の食品偽装事件
2007年 通称ミートホープ事件として知られる食品偽装事件
2011年 損益を10年以上隠し続けた末に粉飾決算をしたオリンパス事件
2018年 成人の日に振袖を届けず無断で閉鎖した、はれのひ騒動
2019年 かんぽ生命保険 不適切販売事件

有名な事件だけの抜粋ですので、有名企業以外も入れればこの手の不祥事は無数にあります。

理念があっても不祥事は起こる。だからこそ

崇高な理念があろうがなかろうが、このような不祥事が起こることで、それが有名無実化していることは、全従業員が分かっています。

いや、不祥事が起こっていなくても、そこで働いている人たちは、理念に書かれている文言よりも、利益追求や権力者の利権だけが優先されている組織の現場の空気感を誰よりも分かっています。

これにメスをいれることができるのが、「クレド」というわけです。

コンプライアンス対策、そして法令遵守。

こうしてクレドが近年脚光を浴びるようになってきたわけですが、残念ながら不祥事を起こすような企業が掲げている理念と同様、有名無実化したクレドになってしまっている会社が少なくありません。

まずは、そこからメスを入れていかなければならないのです。