
クレドとは何か?あえて語らなかった理由と私の答え
今まで、「クレドとは何か?」という問いに対して、あえて明確な定義を示してきませんでした。なぜかと言うと、「クレドとはこういうものだ」と知識だけを得て、それで分かった気になってしまう人が多いからです。
実際、私(藤原清道)はこれまでに多くの企業でクレド経営の支援をしてきましたが、クレドの知識だけを持っていても、実践できていない企業が数多くあります。その理由は、クレドを 自分の頭で考えずに、誰かの定義をそのまま受け入れてしまうこと にあります。
クレドを知ることが逆効果になることもある
「クレドとは何か?」と検索すると、多くの企業が掲げているクレドの定義や事例が出てきます。成功事例を見て「こういうものを作れば良いんだ」と思い、そのまま自社に取り入れようとする企業は少なくありません。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。 クレドの本質は、各企業が持つ独自のミッションや価値観を言語化することにある ので、他社のクレドをコピーしてもうまくいくはずがありません。
例えば、ある企業が「お客様第一」をクレドに掲げたとします。しかし、その企業の現場では「とにかく利益を最優先しろ」という文化が根付いているとしたら、クレドはただの言葉になってしまいます。結果として、クレドが機能しないどころか、社員からも「結局、会社はクレドを大事にしていない」と見られ、逆効果になりかねません。
クレドを本気で活かすために必要な思考プロセス
では、どうすればクレドを本当に機能させることができるのでしょうか?
まず大切なのは 「自分で考えること」 です。
他社の成功事例を参考にするのは構いません。しかし、それを そのまま受け入れるのではなく、「なぜこの企業はこのクレドを掲げているのか?」と考え、自社に当てはめたときにどうなるのかを検討すること が重要です。
また、クレドを作る過程では、最初から完璧な形にする必要はありません。「なんとなくしっくりこない」「まだ言葉がまとまらない」という状態でも大丈夫です。むしろ、考えずに誰かの定義をそのまま採用する方が危険なのです。
私の考えるクレドの定義
ここまで「クレドとは何か?」という問いにすぐには答えない理由を述べてきましたが、あくまで私の考えるクレドの定義をお伝えしておきます。
クレドとは、「ミッション(企業目的)を達成するために、会社が大切にしている価値観(理念)を、従業員やお客様に届けられるように身近に置いてわかりやすくしたツール」
これは、あくまで私が定義しているものであり、すべての企業に当てはまるとは限りません。だからこそ、「あなたにとってのクレドとは何か?」 を自分で考えることが大切なのです。
クレドを機能させるための3つのステップ
ここまで読んで、「じゃあ、どうやって自社のクレドを作ればいいのか?」と思われたかもしれません。そこで、クレドを機能させるためのステップを3つ紹介します。
1. 経営陣がクレドの意義を理解し、本気で取り組むこと
クレドは単なるスローガンではありません。経営陣が本気でその価値を理解し、浸透させる意識を持たなければ、どんなに素晴らしい言葉を並べても意味がありません。
2. 従業員と一緒に「自社にとってのクレド」を考え、浸透させること
トップダウンでクレドを決めても、社員が納得しなければ実践されません。従業員と一緒に「自社にとって何が大切か?」を考え、言葉にしていくことが重要です。
3. クレドを実践する文化をつくること
クレドは作ることがゴールではありません。日常の業務の中で使われなければ、意味がないのです。例えば、評価制度にクレドを組み込んだり、朝礼でクレドを唱和したりするなど、 クレドを行動に落とし込む仕組みを作る ことが大切です。
まとめ:クレドは“知る”のではなく、“考え、活かす”もの
「クレドとは何か?」という問いの答えを探すことは大切です。しかし、 クレドを知ることが目的になってしまうと、本質を見失います。
大切なのは、自社にとってのクレドを考え、それを実践できる文化を作ること。そうして初めて、クレド経営が成功へとつながるのです。
最後に、あなたに問いかけます。
「あなたの会社にとって、本当に大切にすべきクレドとは何でしょうか?」
考えてみてください。